オフィス移転の費用相場はどのくらい?主要項目ごとに解説!

オフィス移転にはどれくらいの費用がかかるか、イメージできますか?
オフィス移転は、企業の成長や変化に伴って実施される大きなステップです。一方、多額の費用が伴う点も見逃せません。
企業の資金繰りを圧迫せずにオフィスを移転するためには、事前に各項目の費用を把握し、しっかりと計画を立てることが重要です。今回は、オフィスの移転に伴う費用の相場や種類、注意点について詳しく解説します。

オフィス移転にかかる費用の総額はどれくらい?
オフィス移転にかかる費用は、スタートアップのような小規模企業でも数百万円に上るのが一般的です。会社の規模によっては、数千万円単位が必要となる場合も大いに考えられます。
なお、移転費用を左右するのは会社の規模だけではありません。例えば、新オフィスに運ぶ家具の量によって引越し代は大きく変わります。さらに、内装をどのようなデザインにするかによっても、工事費用が変動します。
それでは次に、こうした総額の費用を、以下の項目別に分解しさらに詳しく解説していきます。
- 新オフィスの入居にかかる費用
- 新オフィスの入居工事にかかる費用
- 現オフィスの引き渡しにかかる費用
- その他オフィス移転にかかる費用
新オフィスの入居にかかる費用

まずは、新オフィスの入居にかかる初期費用を把握しておきましょう。新しいオフィスに入居する際にかかる主な費用には以下のようなものが挙げられます。
- 預託金(敷金・保証金)
- 礼金
- 前払家賃
- 保証委託金
- 仲介手数料
- 火災保険料
かかる費用は、会社の規模やオフィスの大きさによっても異なり、もちろん地域差もあります。
預託金(敷金・保証金)
預託金(敷金・保証金)は、オフィスのオーナーに一定の金額を無利息で預け入れることです。主に、家賃滞納や現場復帰にかかる費用を確保するための費用として扱われます。費用相場を、下記にまとめました。
| 大手デベロッパー物件 | 賃料の12ヶ月 |
| ファンド物件 | 賃料の6~12ヶ月分 |
| 個人オーナー物件 | 賃料の3~12ヶ月分 |
費用は、一般的にオフィスを退去するときに返還されますが、契約内容によって異なることを覚えておきましょう。例えば、償却の設定がある場合は償却分を引いた額を差し引いて返還されます。また、物件によっては保証会社を利用すると、保証金が0ヶ月になることもありますので、仲介業者に確認しましょう。

礼金
礼金とは、賃貸借契約を結ぶ際に、借主からオーナーに対して支払うお礼金です。礼金の費用相場は、家賃の1ヶ月から2ヶ月分程度です。
礼金は昔からの習慣で、オフィス物件を貸してくれたことに対して、オーナーに感謝の気持ちを表す目的があります。そのため、退去時に返済されません。
近年は、オフィス物件を不動産などの仲介業者を介して契約することが多く、オーナーと直接顔を合わせる機会がほとんどありません。そのため、礼金0の物件も増えてきています。
| 大手デベロッパー物件 | ないことが多い |
| ファンド物件 | ないことが多い |
| 個人オーナー物件 | なし~賃料の2ヶ月分程度 |
前払家賃
オフィスを契約した月の家賃を事前に払います。1ヶ月分を丸々負担しなければならない場合もあれば、日割りが適用される場合もあり、異なります。
保証委託料
保証委託金とは、賃貸借契約において入居者が保証会社に委託した際に発生する金額です。保証委託金の相場は保証会社や物件によっても異なりますが、家賃の1〜2ヶ月分程度です。
オフィスを借りる際、一般的に連帯保証人を立てなければなりません。しかし、連帯保証人がいない場合は保証会社に委託することで契約が可能となります。保証会社に委託することでオフィスを借りやすくなる、敷金保証金を少なくできるというメリットがあります。

仲介手数料
新しいオフィスを探したり契約したりする際に、不動産会社(仲介会社)に委託した場合、不動産会社に仲介手数料を払う必要があります。
仲介手数料の費用は、家賃の1ヶ月分です。上限金額が宅建業法によって家賃の1ヶ月分と定められています。 不動産会社を利用することで、オフィス物件の紹介・案内だけでなく重要事項の説明や契約の手続きなども行ってくれるため、スムーズに新しいオフィスに移転できます。
火災保険料
賃貸オフィスのほとんどの物件では、火災保険の加入が義務付けられています。一般的な相場は、2年契約で1〜3万円程度です。
火災保険料は、加入した会社やプラン内容によっても異なります。金額の幅が広いのは、保証内容が異なるためです。契約前に内容を確認し、必要なプランを選びましょう。

新オフィスの入居工事にかかる費用

新しいオフィスの契約が決まったら、新しくシステムを導入したり必要なものを準備したりと、環境を整える必要があります。どんなオフィスにしたいのか、会社の規模などによって費用は異なります。
- A工事:オーナーの費用負担で行う工事
- B工事:テナントの費用負担だが工事業者はオーナーが指定する業者(ゼネコンがほとんど)
- C工事:テナントが選定した業者に依頼できる工事(費用負担はテナント)
本項目では以下、主な工事内容や内訳について詳しく見ていきましょう。
- 電気工事費用
- LAN、ネットワーク工事費用
- 電話工事費用
- 内装工事費用
- セキュリティ工事費用
- 空調工事費用
- 防災工事費用
電気工事
オフィスを使用するのに必要な電気工事にかかる費用相場は、1坪あたり3万円〜4万円程度です。必要な電気容量を計算し、容量が足りない場合は増設も行います。
なお、電気容量が大きい電化製品を設置する箇所は、別途の回路を作る必要があります。
電源工事は基本的にA工事ですが、電気容量が足りない場合の増設工事はB工事です。
| 工事費用の相場 | 30,000円~40,000円/坪 |
LAN、ネットワーク工事費用
オフィスに必須なネットワーク環境の工事です。こちらは設置箇所数で計算します。
LANや光ケーブルなどを設置する場合、それぞれネットワークを1箇所につき15,000円〜20,000円程度の費用が必要です。
電話工事費用
電話の設置にも費用がかかります。新規購入だと一台につき40,000円程度、電話の移設だと20,000円程度が一般的です。
内装工事費用
壁紙や床の張り替えやパーテーションの設置など、仕事をしやすく快適な環境を整えるためには内装工事(一般的にC工事に該当します)が欠かせません。
壁紙や床材の種類、デザインなどによって内装工事費用は下記のように大きく異なります。デザイン性の高いものになればなるほど、費用はかさみやすい傾向です。
- 【費用をなるべく抑えたい】
- 1坪×10万~25万
- 【シンプルで機能的なオフィスにしたい】
- 1坪×25万~50万
- 【デザイン性の高いオフィスにしたい】
- 1坪×50万円以上
近年、内装工事に必要な資材価格が高騰しています。2026年3月の建設物価調査会による調査では、建設資材の価格が2015年時よりも約1.5倍上昇していることが公表されました。
資材の高騰は、工事費用に大きな影響を及ぼします。これからのオフィス移転にあたっては、内装工事への負担が大きくなる可能性を考慮しておきましょう。

セキュリティ工事費用
オフィスのセキュリティにかかる費用は、70万円程度にまで及ぶこともあります。セキュリティ管理を徹底したい箇所には、より高機能かつ高額なシステムが求められます。
ちなみに、ICカード認証システムは数万円〜20万円、指紋や静脈認証のセキュリティシステムの相場は数万円〜70万円程度です。
空調工事費用
空調工事では、吹き出し口の増設や移設を行います。
空調の工事費用は、工事内容によって大きく異なりますので、工事会社に確認しましょう。空調工事は、一般的にB工事に該当します。
防災工事費用
非常用設備やスプリンクラーを増設するなど、防災工事費用もかかります。特に、内装で会議室など個室を作った場合はスプリンクラーを増設しなければなりません。
その他、非常灯や火災報知器、消化器なども必要です。これらの非常用設備を一から用意する場合、総費用は50~100万円ほどかかることも少なくありません。

現オフィスの引き渡しにかかる費用
新オフィスの環境を整える準備に加え、現オフィスを引き渡すための段取りを組む必要があります。現オフィスの引き渡しにかかる主な費用には、以下のようなものが挙げられます。
- 原状回復工事費用
- 明け渡しまでの家賃や水道光熱費
- 引越しに関する費用
- 廃棄物に関する費用
- 住所変更に発生する諸費用
では、それぞれにかかる費用の具体的な内容を見ていきましょう。
原状回復工事費用
元々使っていたオフィスを、入居前の状態に戻すに必要な工事です。
小・中規模のオフィスだと1坪あたり3万円〜5万円程度、大規模オフィスだと1坪あたり5万円〜15万円程度が相場です。オフィス物件や状態によって異なりますので、見積もりを取って費用を確認しましょう。
また、原状回復工事は、オーナーかビルの管理会社が指定した業者に依頼しなければならない場合が多く、基本的にB工事です。
明け渡しまでの家賃や水道光熱費
借りていたオフィスをオーナーに引き渡すまで、家賃や水道光熱費は発生します。状況によっては、新オフィスの家賃と重複して支払う期間がある可能性も考えられます。さらに、賃貸オフィスを契約期限内に解除したケースでは、解約金が別途で生じることも珍しくありません。
引越しに関する費用
旧オフィスから新オフィスにかかる引越し費用も、考慮しなければなりません。引越し費用は従業員1人に対し2万円〜3万円が相場とされています。
引越し業者に頼む場合は、何軒かの業者に見積もりを出してもらいましょう。複数の業者を比較することで、最適な選択が可能となります。
廃棄物に関する費用
新オフィスで使用しない廃棄物を処理する際は、産業廃棄物管理票(マニフェスト)発行してくれる業者に依頼するとよいでしょう。業者に依頼すると、機密書類やハードディスクなども安全な方法で処理してくれるので安心です。
廃棄物の処理にかかる費用相場は4トントラック1台分で10万円程度です。業者によって異なるため、見積もりの際にきちんと確認しましょう。
住所変更に発生する費用
オフィス移転をすると住所変更に関する役所での手続きをしなければならず、その際に費用がかかります。一連の手続きを司法書士に頼む場合は、別途費用が必要です。
住所変更に関する詳しい手続きや費用に関しては次の項目で解説します。

その他オフィス移転にかかる費用

前述しましたが、オフィスが移転し住所変更をすると、役所での手続きや資料作成などの作業を行います。その際にも費用が発生することを、覚えておかなければなりません。本項目では、それぞれ詳しく見ていきましょう。
引越しの際に役所に提出する書類作成費用
オフィス移転で住所が変わると、法務局に登録免許税を支払う必要があります。移転前のオフィスと移転先のオフィスの管轄する法務局が同一だと3万円、異なると6万円です。
また、税務局、年金事務所、労働基準監督署、社会保険事務所、都道府県税事務所、市町村などにそれぞれ必要な届出を行います。その際に、それぞれ数百円〜数千円の費用が必要です。
いろいろな手続きをスムーズに行うために、司法書士に書類の作成から手続きまでを任せる会社も少なくありません。司法書士に任せる場合は3万円〜5万円程度の費用が必要です。
名刺や会社案内などの再作成費用
オフィスが移転すると、従業員の名刺や会社のパンフレット、ホームページの情報など会社の住所が印刷されているもの再作成する必要があります。
取引先へ新しい移転先に関するお知らせを発行する場合、作成と発送にも費用がかかります。こまごまとした作成費用を忘れがちですが、再作成費用を予算に組み込むことも重要です。
オフィス移転の費用を削減するための重要ポイント
上記でも考慮したとおりオフィス移転時にはさまざまな費用が発生します。事前にしっかりと把握しなければ、思わぬ落とし穴があり、想定よりも費用がかかる可能性があるでしょう。本項目では、オフィス移転の費用に関する注意点をいくつか解説します。
- 余裕のあるスケジュールを組む
- 使える備品は再利用しコスト削減する
- 移転後に発生する費用も把握しておく
- 補助金や助成金は有効に活用する
- 複数社から見積もりを取り、怪しい業者に注意する
余裕のあるスケジュールを組む
内装工事や引越し等の過程における無駄な費用を抑えるためには、適切なスケジュールが不可欠です。そのため、移転日から逆算し余裕のあるスケジュールを組みましょう。
特に、2026年は内装工事の期間が予定より長引くケースが頻発しています。工事業者との打ち合わせを綿密に行い、適切なスケジュールを組むことがおすすめです。

使える備品は再利用しコスト削減する
旧オフィスで使用していたものを全て処分するのではなく、使える備品を再利用するのもおすすめです。デスクや椅子、応接セットなど再利用できるものは工夫して使用しましょう。
セットアップオフィスとは、貸主によって内装・家具が用意された状態で利用できるオフィスのことを指します。
オフィス移転にかかる費用の中でも特に高額な、内装工事や家具の購入費用を0円にすることができるため、費用を大幅に抑えた移転が可能となります。
移転後に発生する費用も把握しておく
移転後に発生する費用を把握しておくことも、予算オーバーになる危機を避けるのに有効です。
例えば、立ち退きの日まで払い続ける必要がある旧オフィスの家賃や光熱費、移転後の住所を印刷した名刺やパンフレットなど、手続きにかかる費用などが該当します。
補助金や助成金は有効に活用する
移転に伴う費用を抑えるのに役立つ、補助金や助成金が存在します。オフィスを移転する際は、当てはまる補助金がないか調べ、積極的に利用しましょう。
例えば、「ものづくり補助金」は設備投資や開発に関係する費用を補助しています。生産性向上や事業再構築のためのオフィス移転は、補助金の対象となる場合があります。
複数社から見積もりを取る
オフィス移転に関して引越しや、内装業者、電気工事業者などさまざまな業者が関わります。これらの業者を決める際には、複数社から見積もりを取りましょう。
複数声をかけることで相場がわかります。レイアウトと見積もりを提出してもらい、提案の良い会社を選択しましょう。

費用を計算してスムーズにオフィス移転計画を進めよう!
オフィス移転には、さまざまな過程であらゆる費用が発生します。
余裕を持ったスケジュールを立てて、必要な費用を全て把握し予算を組むことで、最適なオフィス移転が実現できます。
費用を抑えるためには、再利用できる備品を新オフィスでも利用したり、補助金や助成金を利用するのも良いでしょう。さらに、業者に見積もりを頼む際は、安さだけにとらわれず、複数の業者に頼み信頼できる業者を決定するのがおすすめです。
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